狭小住宅でリビングを広く見せるコツ|間取りのアイデアや注意点も紹介
狭小住宅は、間取りの工夫次第で広々とした空間に見せることが可能です。設計の際にさまざまな工夫を凝らし、快適に生活できる広い狭小住宅を手に入れましょう。
今回は狭小住宅のリビングを広く見せるコツや、おすすめの間取りについて解説します。失敗しないための注意点も紹介するので、狭小住宅を建てる予定の方はぜひ参考にしてください。
狭小住宅のリビングを広く見せるコツ
リビングは、家族がくつろいで一家だんらんを楽しむスペースです。窮屈で圧迫感のある空間にならないよう、間取りにさまざまな工夫を凝らしましょう。
まずは、狭小住宅のリビングを広く見せるコツを紹介します。
■リビングダイニングにする
リビング(居間)とダイニング(食事をするための部屋)を兼ねた空間を「リビングダイニング」といいます。それぞれの部屋に仕切りがないため、広々とした空間を生み出すことが可能です。家族同士のコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。
変形地に建てる場合は、土地の形状を活かした設計がおすすめです。リビングとダイニングの位置を少しずらして、視線が抜けるように工夫しましょう。
■大きな窓を設ける
狭小住宅は密集地に建てられることが多く、風通しや日当たりが悪くなりがちです。昼間でも照明が必要になる暗さでは、リビングで過ごすことが苦痛になってしまいます。
部屋に大きな窓を設置して、効率よく自然光を取り込んでください。リビングが最上階の場合は、横と上部の窓から採光を確保できる天窓(トップライト)を設けるのが効果的です。
また窓が増えることで、必然的に壁が少なくなります。圧迫感がなくなり、空間が広々とした印象になるでしょう。家具を置くスペースや部屋の向きなどを考慮した上で、適切な位置に配置してください。
■壁や家具の色を工夫する
壁や家具の配色も、空間のイメージを左右するポイントです。
リビングを広く見せたいときは、インテリアに白色やベージュなどの明るい色を採用しましょう。このような色は「膨張色」と呼ばれ、部屋を広く見せることが可能です。黄色やオレンジ色などの、暖色や淡色もおすすめです。
一方で、黒色や青色などの暗くて濃い色は「収縮色」といって、小さく見える効果をもたらします。濃い色や寒色を好む場合は、カーテンや家具にアクセントとして取り入れましょう。部屋の一部に青色や緑色などが入ることで、メリハリがついて奥行きが感じられるようになります。
狭小住宅のリビングと相性の良い間取り
続いては、狭小住宅のリビングにおすすめの間取りを紹介します。床面積を消費せず設置できるものが大半ですので、ぜひ導入を検討してください。
■リビング階段
リビングに階段を設置する間取りを「リビング階段」といいます。通常の階段は2畳~2.5畳の広さを消費しますが、リビング階段であれば周りの空間をリビングとして使用できます。限られたスペースを、無駄なく活用できるでしょう。
階段下を空間にして棚を置けば、収納スペースも確保できます。また、スケルトン階段を取り入れて軽い印象にするのもおすすめです。窓との位置関係を工夫すれば、段差の間を光が通って空間全体を明るくしてくれるでしょう。
■吹き抜け
上階の床の一部を取り除き、空間を縦につなげた間取りを「吹き抜け」といいます。視界が縦方向に広がるため、空間に開放感が生まれます。吹き抜けに開口部を設ければ、自然光が効率よく取り込まれて明るい空間にもなるでしょう。
住宅の高さを変えなくとも設置できるので、高さ制限などで天井を上げられない場合にもおすすめです。ただし吹き抜けを設けると、上階の居住空間が多少削られます。ほかの部屋のスペースを確保しつつ、計画的に設計しましょう。
■バルコニー
リビングと一続きになるよう、バルコニーを設けるのも有効な間取りです。視界が広がり、リビングを広く見せられます。窓を大きくすれば、より開放的な空間に感じられるでしょう。
たとえ小さなバルコニーであっても、あるだけで幅広い使い道が期待できます。密集地での暮らしに、ホッと一息つけるスペースがあるのは大きな魅力ではないでしょうか。子どもやペットの遊び場、洗濯物を干すスペースやセカンドリビングとしても重宝するはずです。
リビングが2階以上にある場合は、ルーフバルコニーを設けることで外の景観も楽しめるでしょう。
■スキップフロア
縦の空間を活かし、段差で空間を緩やかに区切って作った空間を「スキップフロア」と呼びます。視覚効果で、リビングが広く感じられるでしょう。
開放感が生まれると同時に、床面積を消費することなく居住スペースや収納スペースを増やせるのが大きなメリットです。
例えば、フローリングのリビングにスキップフロアを設けて畳を敷き、雰囲気の違った空間を楽しんではいかがでしょうか。仕切りがないので、家族それぞれが違うことをしながらコミュニケーションを取れる点も魅力の一つです。
狭小住宅を建てる際の注意点
狭小住宅には、建物の立地や構造による問題がいくつか挙げられます。住みやすい住宅を建てるために、事前に押さえておくべきポイントを紹介します。
■防音対策をする
狭小住宅は住宅密集地に建てられることが多く、どうしても隣家との距離が近くなりがちです。お互いの生活音や、エアコンの室外機の音が原因で生活に支障をきたす恐れがあります。道路に面している場合、車の音が気になることもあるでしょう。
騒音トラブルを招かないためにも、防音対策が必要不可欠です。費用はかかりますが、快適な暮らしを送るために建材や設備のグレードを工夫しましょう。併せて、採光や通風を確保するための天窓や吹き抜けも忘れず取り入れてください。
■デッドスペースを収納に活用する
収納スペースが不足しがちな狭小住宅では、デッドスペースの活用が欠かせません。子どもの成長とともに荷物が増えることも考慮し、収納スペースは多めに確保しましょう。
例えば縦の空間を利用して、ロフトを設けるという方法があります。視線が届きにくいので、備品のストックや使わなくなった家具の収納などに最適です。
ロフトは天井高が1.4m以内かつ、直下の部屋の床面積の2分の1未満の広さであれば法定床面積に含まれません。税金の負担が軽減されるという、大きなメリットが得られます。
ほかには床下や階段下、壁面なども有効活用できるスペースです。必要に応じて扉や棚を取り付け、十分な収納スペースを確保しましょう。収納したい物を事前に決めておき、そのサイズに合わせて設計できればベストです。
階段下についてはトイレを設置できることもあるので、延べ床面積が不足している際はぜひ検討してください。
■空間をなるべく区切らない
必要以上に壁やドアを設けると、圧迫感が出て窮屈な印象になります。リビングの仕切りは必要最低限に留め、開放感を演出しましょう。
どうしても区切りたい部分には、スキップフロアを設けるのがおすすめです。書斎や傷スペースにいかがでしょうか。可動式の扉や、透明の仕切りを取り入れるのも一つの選択肢です。
ただスキップフロアは、プライバシーが完全に守られるわけではありません。気になる場合は、別の場所へ個室を確保しましょう。
■生活動線を意識する
狭小住宅は建物が縦長であるため、生活動線や家事動線が悪くなりがちです。家族が実際に生活する様子をイメージし、動きやすい間取りを設計してください。
とくに朝の忙しい時間帯は、家族全員がバタバタします。トイレや洗面所とリビングとの位置関係を工夫し、家族がぶつからないようにしましょう。リビングを通過する際に、ソファとテレビの間を通らなければならないといった間取りもおすすめできません。
家事動線については、主に家事を担当する人が中心になって考えましょう。
例えば、洗濯室とバルコニーが1階と3階とで分かれていると、階段を毎日何往復もしなければなりません。年齢を重ねるにつれて、足腰に大きな負担がかかるでしょう。
洗濯室と洗濯物を干す場所、買い物帰りを想定した玄関とキッチンとの位置関係などは家事動線を考えるときの重要なポイントです。
室内干しをする場所と備蓄食材の収納を兼ねた「ウォークスルークローゼット」で、洗濯室とキッチンをつなぐのもよいかもしれません。廊下も省けてメリットが満載です。
また来客が多い場合は、来客動線も意識した上で設計してください。玄関からリビングまでの動線に、トイレや浴室を設けることはおすすめしません。来客があった際に、家族が自由に使いにくくなるためです。
家族と来客の両者が、互いに気を遣わず過ごせる間取りを設計しましょう。
快適なリビングがある狭小住宅を手に入れよう
狭小住宅は土地の大きさや形状に制約はありますが、間取りの工夫次第で快適な空間を実現できます。大きな窓や吹き抜けの設置、デッドスペースの活用などを行い、広々としたリビングを設計してください。部屋が開放的な印象になるだけでなく、採光や通風も確保できて一石二鳥です。
住宅会社のヤザワランバーは、東京を中心に家づくりを行っています。狭小住宅を手掛けた実績も複数あり、土地の形状や立地を生かした間取りのご提案が可能です。予算をお伺いした上で、設計士が理想の暮らしに合わせた設計を行いますのでご安心ください。
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