2023/05/26
階段の途中にスキップフロアを取り入れたい!活用方法や注意点を解説
2階建て、3階建ての住宅を計画する場合、1階と上階をどのような間取りにするか、階段をどこに設置するかなどいろいろなプランを立てる必要があります。
一般的に階段は1階と上階をつなぐためのものですが、階段の配置や種類によってはインテリアになったり、踊り場のスペースを有効したりできる間取りを取り入れることも可能です。
注文住宅を検討している人の中には、最近人気のあるスキップフロアが気になる人も多いでしょう。スキップフロアとは何か、またスキップフロアを設けるメリットや注意点などを詳しく解説します。
目次
階段の途中にスキップフロアを設けるなら?
スキップフロアは、1階、2階、3階などのメインの階をつなぐ中間に半階分床の高さを変えてつくるスペースをいいます。踊り場との違いは、踊り場が階段の折り返し地点で途中につくられた平らなスペース、スキップフロアはその場で長時間過ごすことを考えてつくられたスペースだという点です。
スキップフロアは、居室のようにドアや壁で仕切らずに異なる床の高さで空間を仕切るので、採光しやすく開放感がある空間になります。
スキップフロアの使い道は幅広く、フリースペースとしてだけではなくキッズルームやワークスペース、収納スペースなどさまざまな用途に活用できる点が魅力です。スキップフロアの使い方について具体的な例を取り上げて解説します。
書斎・ワークスペース
スキップフロアにデスクやパソコンを置けば、書斎やワークスペースとして使いやすいスペースです。スキップフロアは個室とは違い開けた空間なので、上下階の様子を感じながら作業ができます。
リビングにいる家族の様子を見ながら、ときには家族と会話もできるでしょう。リビングと近くても、フロアが違い適度な高低差があるため、ゆるく仕切ってプライベートな空間を確保できます。
個室感のある独立した空間で落ち着けるので、書斎やワークスペースに最適といえるでしょう。
子どものスタディコーナー
スキップフロアを子どものための勉強部屋にするのもおすすめです。子どもが小さい間は、独立した子ども部屋で勉強させるよりも親の目が行き届きやすいスキップフロアの方が進捗具合を把握しやすいので便利です。
様子をうかがいながら気軽に声がけができます。また、壁に本棚をつくり読書コーナーとして使ってもよいでしょう。
フリースペース
家族それぞれの個室を確保できるなら、スキップフロアをフリースペースとして使う方法もあります。小さいテーブルや大きいクッションなどを置けば、リビングとは少し違った雰囲気のくつろげるスペースになるでしょう。
また、ピアノや楽器を置いて弾けるようにしたり、リビングとは別にテレビを置いてシネマスペースにしたりするなど、趣味を楽しめる場所としての使い方もあります。
収納スペース
スキップフロアを収納スペースとして使う事例も多くあります。ゲームや子どもが使うおもちゃなどは、リビングではなくスキップフロアに収納するようにしておけば、来客がきた際にも目に入りにくいため、生活感を出さずに済みます。
また、スキップフロアは別の用途に使い、スキップフロアの下のスペースを収納場所にする方法も人気です。デッドスペースになる部分を有効に活用することで、収納を多く取れます。
スキップフロアがあることのメリット
家の中にスキップフロアをつくると、どのようなメリットがあるか詳しく解説します。
家族の気配を感じつつスペースを区切れる
スキップフロアは、廊下や壁を使って空間を区切るのではなく、フロアの高低差を使ってスペースを区切ります。
そのため、視界に入らなくても家族の気配を感じながら過ごせます。個室のような密室ではないので、お互いがどこにいて何をしているのか把握しやすく、声をかけてコミュニケーションを取りやすい点が大きなメリットといえるでしょう。
適度にプライベートの距離を保ちながら、家全体の様子もうかがえます。
間取りに制限があっても空間を活用できる
スキップフロアは、1階と2階、2階と3階の間などにスペースをつくるため、建物の高さが制限されているエリアや床面積が限られている土地など、間取りに制限がある場合でも空間を有効に活用できます。
2階建ての住宅でも中2階を設けることで床面積を増やせます。スキップフロアの高さや広さを確保できる場合はワークスペースやフリースペースに、スキップフロアをつくるきに生まれるデッドスペースは本棚や収納などにも使えるでしょう。
スキップフロアは狭小地に家を建てるときや、間取りに制限がある場合におすすめです。
明るく空気の流れが良い
スキップフロアは、フロアの高低差を利用してスペースをつくります。吹き抜けとも相性が良く、スキップフロアと吹き抜けと組み合わせると家全体に縦のつながりが生まれます。空間が大きくなるため、一般的な住宅よりも採光しやすいのが特徴です。
個室を設ける間取りの場合、壁や扉によって光が入らなかったり風通しが悪くなったりします。しかし、スキップフロアなら仕切りがなく家の中を空気が循環するため、風通しも良く天井や2階からの光が下の階まで届いて、明るい空間を演出できます。
住宅が密集する地域でも、明るく風通しの良い住まいになるでしょう。
スキップフロアを設けるときに気をつけたいポイント
スキップフロアにはさまざまなメリットがありますが、もちろんデメリットもあります。スキップフロアのある家を建てるときに気をつけたいポイントを紹介します。
暑さ・寒さへの対策をしておく
スキップフロアにすると、家全体が縦につながるため、開放感が出て明るくなりますが、冷暖房が効きづらくなります。家の温度を温めたり冷やしたりするまでに時間がかかるので、断熱性や気密性を確保できる建材を選んだり、シーリングファンやサーキュレーターなどを使ったりして家全体の空気の循環を良くするとよいでしょう。
建てるときのコストに注意する
スキップフロアを導入する際は、一般的な2階建てや3階建ての住宅よりもコストがかかります。フロアを増やすため材料費がかかるうえ、耐震強度のある建物にしなければいけないので、構造計算、耐震対策なども含めて総合的に建築費が高くなることを認識しておきましょう。
また、スキップフロアは途中に段差を設けて空間にスペースをつくるので、床面積が広くなります。固定資産税は床面積が多い家ほど価値が高いと判断されるため、税金が上がる可能性があります。
上り下りしやすい階段にする
スキップフロアを作ると段差が増えます。生活動線の中でどうしても上り下りが増えるので、段差を低くしたり、階段の幅を広くしたりして行き来しやすい間取りにしましょう。
段差が多いため、掃除の手間もかかります。さらに、洗濯する場所と干し場が上下階に分かれていると、1日に何度も上り下りをしなければならなくなります。
家事の負担を減らせるよう、間取りを考えるときに家事動線も考慮しましょう。
音と臭いが伝わっても大丈夫か検討する
スキップフロアは仕切りがないため、リビングやキッチンの匂いと音が伝わりやすくなります。プライベートな空間で集中したいなら、パーテーションを置いて仕切る、スキップフロアを作る位置を考えるなどの工夫が必要になります。
匂いや音などが邪魔になるような作業をしたい場合は、スキップフロアではなく扉と壁で仕切られる個室を用意する方がよいでしょう。
階段の途中にスキップフロアで独自のこだわり空間を
スキップフロアは階段の途中に設けるスペースで、狭小地や間取りに制限がある場合の住まいづくりでも広さを確保できると人気です。また、壁や扉で仕切らないため採光や風通しを確保しやすく、限られたスペースを有効に活用できます。
ただし、建築費が高くなる、階段の上り下りが増える、臭いや音が響きやすいなどのデメリットもあるので、家族のライフスタイルや将来の暮らしもイメージしながら検討しましょう。