2022/04/26
二世帯住宅は完全分離型でも後悔する?よくある後悔の例と対策を解説
近年、完全分離型二世帯住宅が注目を集めています。しかし家庭の事情を考慮せず二世帯住宅の住宅タイプを選んで、後悔している方も少なくありません。
そこで今回は、完全分離型でよくある後悔の例や対策を紹介します。完全分離型が人気の理由も併せて解説するので、二世帯住宅の購入を検討中の方はぜひ参考にしてください。
目次
完全分離型の二世帯住宅が注目されている理由
二世帯住宅と聞くと、多くの方が「二世帯の同居」を連想するでしょう。しかし二世帯住宅には3つの住宅タイプがあり、完全分離型は生活空間を世帯ごとに分けているのが特徴です。
お風呂やキッチン、玄関までもが各世帯にそれぞれ設けられており、共用部分は基本的にありません。そのため「同じマンションの隣人」に近い感覚で、別の世帯として生活できます。
完全分離型には、ほかにも様々な魅力があります。注目されている理由を紹介します。
■小規模宅地等の特例が適用される
小規模宅地等の特例とは、一定の適用要件を満たした場合に、宅地等の相続税評価額を最大80%減額できる制度です。土地や敷地権などの、被相続人等の居住用・事業用に供されていた宅地等を法定相続人が取得する場合に適用できます。
二世帯住宅は「被相続人の自宅」となり、「特定居住用宅地等」に該当します。この場合、相続した自宅の土地のうち、330㎡を限度に評価額の80%を減額できます。
減額の適用は、原則として被相続人が居住していた部分に相当する敷地面積に対しておこなわれますが、二世帯住宅は例外で、「敷地全体」に減額が適用されるため、敷地面積を世帯ごとに分ける必要はないのです。
ただし、330㎡を超えた分は減額できなかったり、登記の仕方によっては特例が適用できない場合があるので注意が必要です。
詳しい要件などは、国税庁のホームページをご覧ください。
参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」より
■プライバシーが守られやすい
完全分離型の一番の魅力は、各世帯のプライバシーが守られやすい点です。生活空間を分けることで、適度な距離感がありながらも、有事の際はほかの世帯のもとへすぐに駆けつけることができます。プライバシーを守りつつ、介護や育児などのサポートをし合えるのが大きなメリットといえるでしょう。
また各世帯の生活スタイルが異なる場合も、完全分離型(特に「左右分離型」と呼ばれる縦割りタイプ)であれば過度に気を遣う必要がありません。騒音や振動によるトラブルが起こりにくく、両世帯が良好な関係を維持できるでしょう。
■将来余った部屋を賃貸できる
完全分離型には、設備や部屋が2つずつ用意されています。そのため将来的に一世帯になっても、親世帯の部屋を賃貸として手軽に貸し出すことが可能です。もちろん親世帯の事情だけでなく、子世帯の転勤などにも対応できます。
これは一般的な住宅としては部屋数が多い、完全同居型や一部共用型の二世帯住宅には挙げられにくいメリットです。部屋数があまりに多いと、借り手が絞られて賃貸しにくくなるためです。
完全分離型の二世帯住宅でよくある後悔の例
完全分離型二世帯住宅には多くのメリットがありますが、後悔している方もいるようです。そこで、完全分離型でよくある後悔の例を紹介します。
■生活音に気を遣う
完全分離型の中でも、横割りタイプ(上下分離型)に多いのが生活音が気になる、生活音に気を遣う、という後悔です。
定年退職した親世帯と、子育てと仕事を両立する子世帯とでは、どうしても生活スタイルが異なります。生活空間を分けていても、活動時間の違いによる騒音に悩まされることがあるでしょう。
上下に分ける完全分離型にすると、子世帯が2階で暮らすケースが大半のため、子どもの足音も気になりがちです。音の問題は図面でチェックできないため、実際に住んでからわかることが多いようです。
■家に友人を呼びにくくなった
一世帯で暮らしていたときに比べると、家に友人を呼びにくくなります。完全分離型で玄関を2つ設けていても、羽を伸ばして楽しむことは難しくなるでしょう。
玄関が隣り合わせの場合は、玄関先で立ち話をすることすらためらわれるようになります。玄関の設置場所をずらして人の出入りが気にならないように工夫をしていても、隣世帯に気を遣い、友人を呼びにくいと感じてしまうケースもあるようです。
■両親の介護が大変
親が高齢になり介護が必要になると、親世帯の生活空間へ行く頻度が高くなります。食事やトイレの介助のたびに、親世帯のもとへ向かわなければなりません。
完全分離型の場合は生活空間を分けている分、ほかの二世帯住宅のタイプに比べて親の状況がすぐには把握できず、様子を見るだけのために頻繁に世帯を行き来しなければならないのが大変という声を多く耳にします。
■光熱費の支払いでトラブルになる
完全分離型だけではありませんが、二世帯住宅の場合、光熱費の支払いは基本的に一括で請求されます。住み始める段階で両世帯がよく話し合っておかなければ、後々お金のことでトラブルになる可能性があるでしょう。
ご家庭によっては、住宅ローンや車の維持費の問題も挙げられます。毎月の積み重ねが、大きなストレスにつながる恐れがあります。
■外回りの掃除や手入れでトラブルになる
完全分離型であっても、庭やバルコニーは共用することがあります。日々の掃除や手入れの分担を決めておかなければ、トラブルになる可能性があるでしょう。
お金のことと同様、住み始める段階で十分な話し合いが行われなかったことによる後悔です。いずれも途中で話を切り出すことは難しく、一度トラブルになると関係を修復しにくくなります。
完全分離型二世帯住宅の間取り2種類のメリット・デメリット
完全分離型二世帯住宅には、間取りを1階と2階で分ける「横割りタイプ(上下分離型)」と、左右で分ける「縦割りタイプ(左右分離型)」があります。
横割りタイプの多くは、親世帯が1階部分、子世帯が2階部分を使用します。階段は1つ設置するだけでよく、親世帯が高齢になっても階段を使わず生活できるのが大きなメリットです。
ただし生活音には配慮しなければならず、子どもの足音や夜間の生活音が親世帯のストレスになる可能性があります。
一方で縦割りタイプは、横割りタイプに比べて独立性が高いことが特徴です。ある程度の間取りの工夫は必要ですが、横割りタイプほど生活音を気にする必要もありません。
ただ親世帯が高齢になると、階段が使いにくくなることが難点です。そのために親世帯の住居のみ平屋にするのも一つの方法ですが、その場合は広い土地が必要になります。地域にもよりますが、土地探しから行う場合は費用がより高額になるでしょう。
将来を見据えながら、生活スタイルに合わせた適切な住宅タイプを選ぶことが大切です。
完全分離型の二世帯住宅で後悔しないための対策
今回紹介した完全分離型二世帯住宅での後悔は、いくつかのポイントを押さえれば回避できることばかりです。家づくりを行う段階で、次の3点に気をつけましょう。
■生活音が気にならない工夫をする
間取りや建材を工夫し、防音性能を上げることで生活音が気にならなくなる場合があります。例として、親世帯の寝室と子世帯のLDKの配置を離すことや、床や壁に防音効果が高い建材を使用することが挙げられます。
横割りタイプの場合は、2階の床に防音マットや防音カーペットを敷くだけでも大きく変わるでしょう。
縦割りタイプの場合は、壁に収納を挟むことで横の部屋からの音を軽減できます。また、生活音の優先順位が高い場合は、横割りタイプではなく縦割りタイプを選ぶのも一つの選択です。
■生活ルールをあらかじめ決める
両世帯で事前に話し合い、生活ルールを決めておきましょう。中でも光熱費を支払う割合や共用部分の掃除の分担などは、曖昧にしておくと大きなトラブルに発展する可能性があります。
関係が近い親子であるからこそ、事前にしっかりと話し合うことが大切です。
■お互いの要望を反映した家づくりを心がける
二世帯住宅は、二つの世帯がともに暮らす家です。どちらか一方だけでなく、両世帯の要望を取り入れた家づくりを心がけましょう。
ハウスメーカーの担当者との打ち合わせは、毎回家族全員が参加できるわけではなく、特定の家族だけで話が進みがちです。
できれば両世帯を取り持つ家族(同居する親世帯の子である妻や夫など)が家族会議を指揮し、意見をまとめた上で打ち合わせに臨みましょう。家族会議で意見が言えない家族がいるならば、一人ひとりに個別で話を聞く時間をもうけるのもよい方法です。
家族全員の理想を叶えるのは難しくとも、意見をもとに優先順位を決めることはできるはずです。お互いの要望を反映した、後悔のない家づくりを行いましょう。
二世帯住宅で後悔しないためには設計に時間をかけることが大切
完全分離型二世帯住宅には数々の魅力がありますが、後悔の声もあります。特に間取りの問題は、住み始めたあとに調整することが困難です。設計の段階でいかに時間をかけて、家族の要望を取り入れるかということが大切になります。
住宅会社のヤザワランバーでは、お客さまの家族構成や生活環境、理想の暮らし方をもとに「1棟2コンセプト」の家づくりを手掛けています。専属の設計士が直接お話を伺い、同じ担当者が引き渡しまで責任を持ってお客さまに寄り添います。
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